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犬の心臓病とトリメチルアミンN-オキシドとの関連性について調査した試験的研究

投稿者:武井 昭紘

◆トリメチルアミンN-オキシドとは◆
英語名trimethylamine N-oxide、略してTMAOと称される。詳しくは、食品に含まれるコリンまたはカルニチンという成分が腸内でトリメチルアミン(trimethylamine、TMA)に変換された後、肝臓で酸化されて生じる物質であり、コレステロールの輸送系を乱し、動脈硬化の原因を作る作用を有していると言われている。 つまり、このTMAOが体内に蓄積すると、循環器疾患を発症するリスクが上がると考えられているのである—–。

 

そのような背景の中、タフツ大学は、犬に比較的良く起きる僧帽弁の変性性疾患(degenerative mitral valve disease、DMVD)とTMAOに着目して、両者の間にあるかも知れない関連性について調べる研究を行った。なお、同研究では、①うっ血性心不全を伴ったDMVDの犬、②無症候性DMVDの犬、③臨床上健康な犬の3グループを対象に、血漿中のTMAOの濃度が測られており、それらが統計学的に比較されている。すると、②③よりも①の方が、有意に高い血漿中TMAO濃度の値を示すことが明らかになったとのことである。

上記のことから、TMAOは、犬の僧帽弁疾患の発症メカニズムに深く関与している可能性があると考えることができる。よって、今後、①や②において、コリン・カルニチンを制限したフードが病態の進行を喰い止めるか否かについて検証され、TMAOの「未知の」役割が明らかになるとともに、その結果に基づいて、犬の僧帽弁疾患に対する新たな治療法の開発が進むことに期待している。

MAOの素となるコリンやL-カルニチンに関するデータにつきましては、リンク先の文献をご参照頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30511765


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