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科学誌Scienceのウェブページに発表された犬の年齢を自動でヒトの年齢に換算するシステム

投稿者:武井 昭紘

『うちの子は、ヒトの年齢だと何歳くらいですか?』

これは、動物病院で勤務している獣医師ならば、一度はオーナーから投げかけられたことのある質問だと思うが、読者の先生方は、実際、どうのような回答を提示しているだろうか。また、おそらく、動物関連の文献やインターネット上の「年齢換算表」を参考にしておられるかとは推察しているのだが、その加齢スピード(年齢が増えていく割合)の生物学的な正当性について考えたことはあるだろうか—–。

 

2019年11月15日、前述した筆者の問い掛けに答えるかのように、既存の年齢換算表に異を唱えた情報が、科学誌Scienceのウェブページに発表された。なお、同誌によると、カリフォルニア大学が加齢の証明となる「DNAのメチル化」に着目してラブラドール・レトリバーとヒトを比較した結果、10ヶ月~1歳齢の犬はヒトの思春期くらいで、20歳齢前後でヒトの100歳に相当し、その間は「均等」に歳を取るといった既存の換算法は非理論的であるとのことで、新しい年齢換算式(リンク先をご参照ください)を導入して自動計算機を設計したというのである。そのため、この計算機に入力された犬の各年齢は、今までの概念とは全く違う「新たな」ヒトの年齢に換算されるのだ(1歳の犬はヒトの31歳となる)。

上記のことから、オーナーから冒頭に記した質問を受けた獣医師は、今回紹介した新しい年齢換算法を利用してみると、科学的(生物学的)に計算された数値をインフォームド・コンセントできるのではないだろうか。

この新しい年齢換算システムを基に、猫の年齢換算表も再編成されることに期待します。

 

参考ページ:

https://www.sciencemag.org/news/2019/11/here-s-better-way-convert-dog-years-human-years-scientists-say


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