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アトピー性皮膚炎の犬において「特定」の病原体に対する抗体の有無を確認した研究

投稿者:武井 昭紘

全く同じ病態だと断定するつもりはないが、一次診療でも非常に良く遭遇する(犬の)アトピー性皮膚炎は、ヒトにも起きることが知られており、人医療では、血清中に存在するマラセチアやStaphylococcus属の細菌に対するIgEの濃度が上昇することが、当該疾患の病状を悪化させると考えられている。しかし、獣医療では、アトピー性皮膚炎に対する「これらの」IgEの役割は、未だ不明な点が多い。

そこで、タイの獣医科大学らは、①アトピー性皮膚炎の犬と②臨床上健康な犬における両病原体に対する抗体(IgG、IgE)の血清中濃度を測定する研究を行った。すると、②と比較して①では、血清中IgGおよびIgE濃度が有意に上昇していたとのことである。

上記のことから、ヒトと同じく、アトピー性皮膚炎の犬でも、マラセチアやStaphylococcus属に対する抗体が、何らかの形で病態の形成に関与していると考えられる。よって、今後、膿皮症やマラセチア性皮膚炎の症例でも同様の研究が実施され、今回紹介した2つの病原体に対する抗体の濃度測定が、犬のアトピーを特異的に認識し、確定診断する指標の一つとして確立されることに期待している。

本研究では、皮膚病変の重症度(Canine Atopic Dermatitis Lesion Index、CADLI)も評価されておりますが、血清中IgGおよびIgE濃度と重症度には有意な関係性は認められなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31696563


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