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RenalTech™~診断が下される2年前に猫の慢性腎臓病を予測できる人工知能~

投稿者:武井 昭紘

慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)は、5歳以上の猫における死因の第1位で、10歳以上の30~40%が罹患する一般的な泌尿器疾患である。故に、早期発見・早期治療は、罹患猫のQOLを改善するために重要なことなのだが、腎機能が低下し始めるタイミング、猫が臨床症状を発現するタイミング、オーナーが愛猫の不調に気が付くタイミングが、何れも月または年単位でズレてしまい、CKDの発見および治療開始が遅れてしまうことが珍しくないのが現状である。

そこで、ウォルサム研究所と欧米の大学らは、猫がCKDを罹患する時期を予測する人工知能RenalTech™を開発する研究を行った。なお、同研究では、過去23年間に、アメリカに1000件を超える動物病院を展開するBanfield Pet Hospitalを訪れた10万匹以上の猫の診療記録から血液生化学(CRE、BUN)、尿比重、年齢が抽出され、人工知能(AI)の学習と、それに続くAIの精度の評価が実施されている。すると、実際のCKD診断時、診断が下される1年前、2年前の3点における感度が、それぞれ約90%、60%、45%であり、特異度は、何れも約99%であったことが確認できたとのことである。

上記のことから、将来的に、RenalTech™の精度が向上されれば、猫のCKDの診断法が大きな変革を迎えるものと思われる。よって、今後、高精度化されたRenalTech™が完成し、世界中の動物病院へと導入され、CKDを「患うかも知れない」猫が1匹でも多く救われることに期待している。

現在では、AI(RenalTech™)がチェックする項目が改編されており、血液生化学検査(CRE、BUN)、白血球数、尿比重、尿タンパク、尿pHの6つになったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31557361

https://www.waltham.com/news-events/new-ai-driven-diagnostic-tool-can-predict-chronic-kidney-disease-in-cats-two-years-before-traditional-diagnosis/5860/


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