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副腎皮質機能低下症の治療を受けた犬に起きた神経症状と精神異常の原因

投稿者:武井 昭紘

4歳齢、去勢オスのオーストラリアン・シェパードが、神経症状と精神が不安定であることを主訴に救急外来を訪れた。彼は、7日前に副腎皮質機能低下症と診断されたばかりであった。また、適切な治療を受けていたという。仮に、治療が上手くいっていたならば、彼の身に何が起きたのだろうか。副腎のトラブル以外に病気を抱えていたのだろうか。

精査のために、頭部MRI検査が行われた。視床・脳幹に病変が認められた。それは、浸透圧性脱髄症候群と呼ばれるものであった。つまり、副腎皮質機能低下症の典型的な症状である低Na血症の補正に続発する現象が起きていたのだ。鎮静、電解質のモニタリングに輸液療法。入院して集中的な治療を要する状態だった。

入院から7日目。危機的な状態から彼は回復をした。4ヶ月半後の再診でも神経学的検査で異常は確認されなかった。しかし、MRIの所見には、まだ病変が認められたという。症例を報告したアメリカの獣医科大学は述べる。本症例ではMRIの所見(病変の深刻度)と臨床症状は一致しなかったと。幸い、良好な経過を辿ったと。皆様が担当する副腎皮質機能低下症の犬に、治療の甲斐なく神経症状が現れた症例は居るだろうか。もし居るならば、MRI検査を検討してみると解決の糸口が掴めるかも知れない。

浸透圧性脱髄症候群から回復した犬の頭部MRIを報告した論文は初めてとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1146091/full


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