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農水省 豚熱警戒 対策再徹底を

投稿者:AsaT

養豚主産地の九州で初めて、豚熱に感染した野生イノシシが確認。農水省はイノシシの経口ワクチン散布など、まん延防止へ対策を急いでいる。

記事によると、佐賀県は6日、唐津市で野生イノシシ2頭の豚熱感染が確認されたと発表した。同市では昨年8月にも、農場で九州初の豚熱が発生した。これを受けて同県は、野生イノシシの検査態勢を強化。今回のイノシシも、発生農場付近で発見されたという。

同県を含む九州は、豚の飼養頭数で全国の3割を占める主産地だ。農場での発生防止へ、感染イノシシをこれ以上拡大させないことが重要となる。同省が7日に開いた豚熱・アフリカ豚熱防疫対策本部で、坂本哲志農相は「豚熱の感染拡大のリスクが、かつてないほど高まっている」と強調、同県内で野生イノシシへの経口ワクチン散布を決めた。迅速で効果的な対応が急務となっている。

各農場では、警戒を保つ必要がある。佐賀県の農場で発生した豚熱のウイルスは、遺伝子解析の結果、中国地方西部で野生イノシシから確認されたウイルスと似ていることが分かった。そのため同省は、中国地方の西部からウイルスが人や車両などに付着して、佐賀県内に侵入した可能性を指摘する。一方、今回の野生イノシシのウイルス解析や、それに基づく侵入ルートの推定には時間がかかる。佐賀県内の問題として捉えずに、各産地は改めてウイルスの侵入阻止と、感染防止の徹底が求められる。

農場での感染予防の柱は、飼養豚のワクチン接種だが、これも万全ではない。ワクチンを接種しても、抗体が十分に作られず、免疫を獲得できない豚は2割いるとされる。そのため豚が十分に抗体を持っているか、家畜保健衛生所の検査を受ける検討もするよう、同省は呼びかける。接種済みの母豚から生まれた子豚は、母由来の抗体を持って生まれるが、生後1、2カ月過ぎると、その抗体は減少してしまう。十分な抗体を維持できるよう、ワクチン接種時期の見極めも重要になる。

豚熱は5月下旬にも、栃木と岩手両県の農場で発生、これで農場での発生は21都県に広がった。同省は春以降、野生イノシシの行動が活発になり、感染リスクが高まっていると指摘しており、引き続き各産地で警戒が求められる。イノシシをはじめとする野生動物の侵入防止に加え、農場に出入りする従業員や車両の消毒など、農場にウイルスを持ち込まない対策を徹底することが不可欠となる。

飼養豚はワクチンを接種しても、免疫を獲得できないケースもある。ウイルスのまん延、侵入防止を改めて徹底し、感染を食い止めよう。


https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/238389

<2024/06/12 日本農業新聞>

豚熱警戒 対策再徹底を(写真と記事は関係ありません)

 


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