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米国の大規模な動物病院グループが統計学的に考えるアレルギー性皮膚疾患

投稿者:武井 昭紘

学問としてのアレルギーは、臨床症状、病態生理、病理組織などの様々な視点から定義されている。しかし、小動物臨床の現場で診断または仮診断を下しているアレルギー性疾患に目を向けると、ペットオーナーや経験の浅い獣医師にとって、定義の曖昧さを感じざるを得ないケースが存在していることも事実である。

そこで、アメリカに1000件以上の動物病院を抱えるBanfield Pet Hospital(バンフィールドグループ)は、ペットの皮膚科診療で遭遇するアレルギーの実態に関する統計学的データを公開した(以下に示す)。

◆犬猫のアレルギー性皮膚疾患の実態◆
・過去10年間において、犬では12.5%、猫では67.3%の割合でノミアレルギーが増加
・過去10年間において、犬では30.7%、猫では11.5%の割合で環境アレルギーが増加
・犬よりも猫の方が2倍、ノミに寄生されやすい
・食物アレルギーと診断できる症例は、全体の0.1(猫)~0.2(犬)%に留まる
・食物アレルギーを有する個体の30%は、別の皮膚トラブルを併発している

上記のことから、ノミ予防の推進と環境アレルゲンの排除が、ペットの皮膚病を治療する際に重要なポイントとなっているのではないだろうか。よって、各病院で食物アレルギーと診断している症例の割合を再考する機会を意識的に作り、定期的に治療方針の見直しをすることが望ましいのかも知れない。

気温の上昇に伴い、皮膚科疾患は増えると思いますが、今年は、熱中症にも充分にご注意ください。

 

参考ページ:

https://www.banfield.com/state-of-pet-health/skin-allergies/overview


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