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犬の音恐怖症の疫学を明らかにしたスイスのオンラインアンケート調査

投稿者:武井 昭紘

ペットが抱える音恐怖症とは、花火や雷といった爆発するような響く音に対して、日常生活にも支障が出てしまう程に「一時的に」不安が高まる精神状態のことを意味する。しかし、当該疾患は、症状における個体差が激しく、原因(キッカケ)、持続時間、発症年齢、有病率など、未だ不明な点も多いのが現状である。つまり、この差をデータ化し、詳しく分かっていない「真実」を解明していくことが、ペットの音恐怖症をより深く理解し、予防法や治療法を確立する上で、大変に重要だと思われる。

そのような背景の中、スイスのベルン大学は、犬のオーナーを対象にした1200件を超えるオンラインアンケートを集積し、音恐怖症の疫学を纏める研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆犬の音恐怖症の疫学◆
・母集団の50%以上の世帯が花火に対する音恐怖症に悩んでいる
・殆どの犬が1歳齢までに音恐怖症を発症している
・7歳齢以上で音恐怖症の初発を迎えることはごく稀である
・音恐怖症の犬の約75%は花火の音を聞いた翌朝には回復している
・残りの10%は24時間以内、12%は1週間以内に回復し、数%は回復に数週間〜数ヶ月かかる

 

上記のことから、音恐怖症は、若齢の犬が発症する「一般的な」病気であるが、症状な発現してから日常生活に戻れるまでの時間にバラつきがあることが窺える。よって、愛犬の音恐怖症が続く時間を具に把握して、症状が長引いてしまう個体を飼育する世帯では、防音設備やグッズの購入、または、音源から遠く離れる外出を検討する必要があると思われる。

今回紹介した研究では、純血種よりも、ミックスの方が、音恐怖症になりやすいとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/31490926/


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