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猫に挿管した時の気管チューブのカフチェックの方法4つを比較した研究

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床において、一部の処置や検査、手術など、何らかの理由によって麻酔をかける時には、動物の気管内にチューブを挿管し、麻酔ガスおよび酸素が効率良く動物の体内へ移行する(麻酔を安定させる)ように、気管壁とチューブの隙間を埋めるカフを膨らませることが一般的である。また、この際に、カフが充分に膨らんでいることをチェックする確認作業、いわゆる、カフチェックをすることも通例となっている。しかし、前述したカフチェックの手技は、動物病院または獣医師個人により、「加減」がバラバラで、統一感はなく、客観性に乏しいのが現状である。

そこで、オーストラリアのシドニー大学は、猫に挿管した時におけるカフチェックの方法4つ(以下に結果とともに示す)の精度を比較する研究を行った。なお、同研究では、生体ではなく、猫の気道を再現したシュミレーターが用いられており、理想的なカフ内圧は、20〜30 cmH2Oとされている。

◆4.つのカフチェック方法とカフ内圧◆
①パイロットバルーンを触る:25(最大74)
②最少閉塞量法:41(最大70)
③ロスオブレジスタンスシリンジ:31(最大64)
④カフ圧計:22(最大30)
*単位は省略。数値は中央値(最大値)で表示。

 

改めて言うまでもないかも知れないが、①〜③の最大値は60以上で、最も頻用されているであろう①では、カフ内圧が理想値の3倍にも達する可能性があることが分かる。よって、新人あるいは麻酔に慣れていない獣医師が挿管をする際や特定の麻酔医が居ない動物病院では、カフ圧計による客観性の高いカフチェックが望ましいと思われる。

同研究には、麻酔管理のトレーニングを受けた獣医師が参加しているとのことです。

 

参加ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/31464541/


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