ニュース

FNAに使用する針のゲージと細胞診の結果との間にある関連性について検証した研究

投稿者:武井 昭紘

採血、注射、FNA。

小動物臨床において注射針として製品化され、流通している、いわゆる「針」を使う場面は非常に多い。それが故か、ヒトを含めた動物種の多様性ゆえか、この針という医療資材の太さ(ゲージ)や長さも、実に千差万別を極めて豊富なライナップが取り揃えられており、各手技、各処置に最適な針のサイズを選ぶのに迷ってしまう程である。だからこそ、おそらく、世界各地の臨床現場にて、常日頃から獣医師・動物看護師の頭の中には、ある疑問が湧き出てくるものと推察しているのだ。

 

『針のサイズの選択は、それぞれの手技・処置の成績を左右するのか?』

ここに焦点を当てた検証が、カナダのプリンス・エドワード・アイランド大学より発表された。

 

なお、同大学によると、FNAに利用する針のゲージと細胞診の結果との間にある関連性を明らかにするために、22Gまたは25Gの注射針を用いて、動物の皮膚、皮下、腔内から細胞を採取して調べたところ、以下に示す事項が判明したとのことである。

◆針のゲージ選択と細胞診の結果◆
①細胞診の結果に針のゲージ選択は影響を与えない
②22Gよりも25Gの方が血液の混入を防ぐことができる
③25Gよりも22Gの方が細胞の傷害(細胞が破壊されること)が少ない

 

上記のことから、血液の混入を防ぎたいなら細いゲージを、破壊される細胞を減らしたいなら太いゲージを選択することが望ましいと思われる。また、この検証を基にして、今後、採血や注射(薬剤別)における針の「ベストゲージ」について同様の検証が進められていくことに期待したい。

本国で広く流通しているであろう23G針も検証の対象になると、更に、現場に即した見解が得られるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31210389


コメントする