小動物臨床では、胃腸炎などに起因した嘔吐を呈する犬猫に制酸剤を投与することがあり、より高く確実な効果を求めて、経口投与(錠剤を吐き戻すリスクがある)よりも静脈投与、静脈投与よりも持続点滴(continuous rate infusion、CRI)という用法が選ばれることが屡々である。しかし、実際のところ、ファモチジンの①1日2回の静脈投与と②CRIが齎す胃酸分泌抑制効果の相違点について、明確に解析した研究は乏しい。
そこで、テネシー大学およびテキサスA&M大学は、犬(臨床上健康なビーグル9匹)に対するファモチジンの胃内pHを上昇する効果に着目して、①と②を比較する研究を行った。なお、①では1mg/kg i.v. q12h 3日間、②では1mg/kg i.v.の後に8.0mg/kg/dayのCRI 3日間という用法用量にて、ファモチジンが使われている。すると、①に比べて、②では、胃内pHを3以上へ引き上げる時間が約2倍に延長することが明らかになったとのことである。
上記のことから、ファモチジンは、①よりも②の方が、制酸剤としての主作用を強く発現するものと考えられる。よって、高度の胃酸分泌抑制効果を求める症例では、CRIによるファモチジンの投与を検討することが望ましいと思われる。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31294879