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食欲不振に陥ったウサギにおける血清中BUN濃度と予後について解析した研究

投稿者:武井 昭紘

ウサギは、体の何処かに不調を抱えていたり、飼育環境中に潜むストレスを感じると食欲不振に陥りやすい性質を有している一方で、盲腸で生育する特殊な細菌群が「ウサギ自身の食欲に依存して」生命維持に必要な栄養素を産生しているため、彼らの食欲不振は即ち「死」に直結するという大いなるジレンマを抱えている動物として知られている。故に、食欲不振となったウサギの診察には迅速な対応(早期発見・早期治療)が求められるのだが、その対応が奏効するか否か、つまり、予後を判定する指標については充分に確立されているとは言えず、今後の獣医療の課題となっている。

そこで、イタリアの動物病院らは、臨床上健康な個体および病気を罹患した個体のいずれも含むウサギの母集団(240匹以上)を対象にして、血清中BUN濃度と予後(生存・死亡)の関連性について検証を行った。すると、食欲不振、且つ、23.3mg/dL以上のBUNを認めるウサギは、BUNの高値を伴わない食欲不振のウサギよりも、約1.7倍、死亡する確率が高いことが判明したとのことである。

上記のことから、血清中BUN濃度は、食欲不振を呈するウサギの予後を判定する因子として有用だと考えられる。よって、同検証を基に、更なる大規模な研究が実施され、血清中BUN濃度を用いた予後判定基準が設定されていくことに期待している。

母集団全体(食欲不振の有無は問わない)では、BUNが14mg/dL未満の個体に比べて、BUNが24mg/dLを超える個体の死亡リスクが約3倍高くなることも確認されております。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.255.2.200


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