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犬の活動性を低下させる過体重の影響力を数値化したデジタル獣医学

投稿者:武井 昭紘

2018年の4月に紹介したPet Insight Projectは、動物用ウェアラブルデバイス(商品名:Whistle FIT)を用いたデジタル獣医学であるとともに、獣医行動学に新たな見解を提供する有望な研究分野の一つとして、今まさに発展を遂げ始めている。そこで、本稿では、獣医師の皆様の手で「そのデータ」を小動物臨床へと還元して頂くべく、同プロジェクトの成果の一端を紹介したいと思う。

 

なお、今回のテーマは、「犬の体重と活動性」に関してであり、以下に示す2つの事項が判明したとのことである。

◆犬の体重によって減少する活動性◆
①過体重の犬は、健康な個体よりも、20%活動性が低下する
②①のうち、10歳未満に焦点を当てると、過体重の犬は、健康な個体よりも10%活動性が低下する

 

上記のことに加えて、「犬の減量を成功へと導くものは、食餌療法ではなく、運動量のアップである」というリバプール大学の研究結果を念頭に置くと、過体重の犬は、非常に痩せにくい状況に陥っていることが窺える。よって、活動性が低下してしまった過体重の犬に、如何にして「無理することなく」運動量を増やしてもらうかを個別のケースに合わせて深慮し、アイデアを絞り出すことが非常に大切であり、減量プログラムの成否を分つことが大きなポイントなのだと思われる。

「犬の体重と活動性」に関するPet Insight Projectの結果は、次に紹介する変性性関節症に纏わるビッグデータに重要な意味を与えますので、覚えておいて頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

https://www.petinsight.com/blog/2019/6/20/insight-into-osteorthritis


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