ニュース

猫の性格を行動学的に大別したフィンランドの大学らの研究

投稿者:武井 昭紘

ロシアンブルーは内気だけど、遊びが好きで、知的。
ラグドールは愛情深く、フレンドリーで、落ち着いた性格。
スコティッシュ・フォールドは人懐っこく、おっとりとして、穏やか。

 

小動物臨床で活躍されている獣医師・動物看護師の皆様が、これらの品種に対してどのような印象を持っておられるかは別として、猫を飼育しているオーナーは、少なくとも、冒頭に記したような印象を抱いているようである。しかし、それぞれの品種ごとの性格・個性は、あくまでも猫を愛して止まない個人の印象に過ぎず、誠に残念ではあるのだが、科学的根拠に乏しいということも事実なのだ。

 

では、彼らの「本当の性格」、つまり、客観的に行動観察した時の「真の姿」とは、一体どのようなものなのであろうか?

 

2019年5月、ここに、一つの答えを提唱した研究がフィンランドのヘルシンキ大学らによって発表された。

なお、同研究では、猫を飼育している世帯を対象に、リッカート尺度(5者択一)の形式を採用した「猫の健康と行動」に関するオンラインアンケートを用いて情報が収集されており、10個の行動学的な特徴における相違点を個々体の性格としてデータ化している。その結果、大学らによると、40種5700匹以上の猫からサンプルが抽出され、猫は、3つの性格(攻撃性、怖がり、内向性)によって、4つのグループに分けられることが判明したとのことである(グルーピングが出来たのは19種のみ)。

◆行動学的解析による猫種別性格◆
①攻撃性が強い:ターキッシュヴァン
②怖がりで内向的:ベンガル、ロシアンブルー
③攻撃性・怖がり・内向性いずれも殆ど認められない:
ブリティッシュショートヘア、ノルウェージャンフォレストキャット、ラグドール、ペルシャ、エキゾチック、バーマン
④いずれも平均的:アビシニアンなど(文献をご参照下さい)

 

上記ことから、猫は、品種によって性格が大きく異なることが窺える。よって、本国でも同様の研究が大規模に行われて、日本で実際に飼育されている品種の性格が大別され、それに基づいた「今以上に進化した」キャットフレンドリーな獣医療が実現することを願っている。

日本で同様の研究が行われる際には、日本猫を含めて、検証が進められることを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6538663/


コメントする