現在、人医療および獣医療ともに、「肥満は病気である」という概念が広まりつつあり、標準体型よりも重い体重が、心臓への負荷、糖尿病のリスクなどを上昇させるため、治療が必要であると考えられている。しかし、これに準ずる話をペットオーナーまたは新人獣医師に伝えても、実感が殆ど湧かないようで、事の重大性(肥満の深刻さ)を充分に理解するに至れないことが珍しくない。
そこで、本稿では、更にインパクトのある研究を紹介したいと思う。
2019年2月、アメリカに1000件を超える動物病院を構えるBanfield Pet Hospital(バンフィールドグループ)は、50000件にも及ぶ犬の寿命を追跡したデータの集計結果を発表した。なお、同発表によると、①標準体型の個体に比較して、②肥満症例における寿命は、最大で2.5年短くなるとのことで、リンク先の図表に示された主要犬種(日本でもお馴染みの種が大半を占める)の全てで、①よりも明らかに短縮された②の寿命が確認できる。
上記のことから、ペットの肥満は「短命」に関連していると考えられる。よって、動物福祉の観点から、そして、予防医療(予防的獣医学)の視点から、オーナーおよび獣医師の両者が、ともに協力して、肥満という病気を罹患した犬の減量プログラムへと真剣に向き合うべきであると言えるのではないだろうか。
参考ページ:
https://www.avma.org/news/javmanews/pages/190301n.aspx