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糖尿病の犬の血糖値を「より良く」コントロールするフードに関する研究

投稿者:武井 昭紘

改めて言うまでもないが、犬の糖尿病を管理する上でのメインテーマは、「血糖値をコントロールすること」である。そして、そのためには何をするべきか。ここに回答を用意することが、獣医学の課題なのだ。無論、今まさに答えを探して研究・経験を積み重ねる獣医師も居れば、個々人の経験や知識によって既に意見(回答)を持っている獣医師も居るだろう。そこで、本稿では、ブラジルの獣医科大学らが発表した論文を紹介したい。是非、課題を解決する参考にして頂ければ幸いである。

 

同大学らは、炭水化物の種類に着目して研究を行った。具体的には、クロスオーバーデザインによって、炭水化物源が主に①米であるフードと②ソルガムおよびレンズ豆であるフードの何れかを糖尿病に罹患した犬10匹に給餌し、且つ、インスリンを12時間ごとに投与して、血液検査・尿検査を実施したという。と同時に、1日2回の給餌(インスリン投与は給餌と同じ時間)と1日3回の給餌(朝の給餌とインスリン投与から4-5時間後に2回目の給餌)といった2つの給餌方法が検討されたそうだ。すると、以下に示す事項が判明したとのことである。

◆異なる炭水化物源と血糖値の変動◆
・1日2回の給餌では、①で管理された犬よりも②で管理された犬で、血糖値が低く保たれる
・②よりも①で、食後の血糖値の上昇が大きい
・1日3回の給餌では、血糖値はフード各種の影響を受けない

 

上記のことから、②を1日2回で給餌することが、血糖値の「より良い」管理に繋がることが窺える。また、1日3回の給餌では、炭水化物源の種類と血糖値の変動に関連性はないことが分かる。よって、血糖値がコントールできない症例を抱えている獣医師は、その症例が食べているフードの炭水化物源や給餌回数の変更を検討すると良いかも知れない。

1日3回の給餌を受けたグループでは、朝のインスリン投与量が夕方のそれより多いとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33904623/


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