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カナダで実施されているクロノセラピー~サーカディアンリズムを小動物臨床へと応用する~

投稿者:武井 昭紘

高校生物学で多くのヒトが学んだ通り、ヒトを含めた動物には、生命活動を正常に保つためのサーカディアンリズム(体内時計)が存在しているとされ、健康的な日常生活を送る上で重要であることは言うまでもないが、病気の治癒・経過にさえも大きな影響力を齎すと考えられている。しかし、ここで、人医療と獣医療を見比べると、前者よりも後者では、体内時計を強く意識した治療に取り組む施設も、それを明記した文献も少なく、残念ながら、今後の発展を期待する研究分野の一つに甘んじているのが現状である。

そこで、カナダのオンタリオ大学は、付属動物病院のICU、オンタリオ州内の一次診療施設、動物保護施設において、24時間体制で光と音の変動を測定する装置を設置し、サーカディアンリズムを乱す可能性がある要因を探る調査を行っている。なお、同大学によると、この調査で得られた結果を、動物の命を守る「治療」に活かすとのことで、それによって実現する動物医療技術をクロノセラピー(時間治療)と呼んでいる。

上記のことから、小動物臨床におけるクロノセラピーが確立されるようになれば、今まで「予後不良」とされてきた疾患の中から、時間に基づく治療で回復を望める病気が次々と発見されるようになるかも知れない。

オンタリオ大学によれば、心臓発作を起こしたヒトにクロノセラピーを適応すると、心臓に形成される病変が最小限化するとのことです。

 

参考ページ:

https://ovc.uoguelph.ca/pettrust/news/importance-rest-and-recovery


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