グレイハウンド、ウィペットなど、スポーツ・狩猟に適した犬は、運動能力に秀でた筋骨格および心肺機能を有し、全犬種の中でも、とりわけ、長時間・長距離の行動が可能である。そのため、前述した品種を研究対象にして、骨、関節、筋肉、心臓に関わる解剖生理学や病態生理学を今以上に理解する試みを行うことは、獣医療にとっても、人医療にとっても、大変有意義なことであると考えられる。
そこで、メリーランド州に拠点を置くヒトゲノムを解析する研究所は、スポーツやハンティングに用いられる犬種の遺伝子配列を、他の犬種のそれと比較した。すると、レースドッグにはTRPM3、障害レースに参加する犬にはROBO1という筋骨格の発達に寄与する遺伝子が存在していることを発見したとのことである。
よって、上記のことを基に、日常生活の単純な動作に支障が出る疾患を抱えている犬において遺伝子学的研究を進め、TRPM3およびROBO1が如何にして働いているのか(もしくは機能していないのか)を検証すると、新しい治療法への道が開けるのかも知れない。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29970415