ニュース

捜索救助犬に備わる「素質」について検証した研究と殺処分ゼロに向けた考察

投稿者:武井 昭紘

災害、遭難などの現場で活躍する捜索救助犬(search-and-rescue dogs、SAR dog)になる個体には、ヒトに好意を持つこと、現場の状況・音に恐怖を感じないこと、好奇心旺盛(活発)であることなどが求められ、加えて、訓練を乗り越える性格(trainability)を持ち合わせていることが必要とされている。故に、ある犬にSAR dogとしての認定を与える基準のグローバル化やSAR dogの才能・素質を見極める指標を明確にすることが、地域格差の少ない救出技術の提供のために大切だと言える。

そこで、アメリカの大学らは、①FEMA(連邦緊急事態管理庁、Federal Emergency Management Agency)が認定した犬と、②認定していないSAR dogまたは③家庭犬について、犬の行動評価および研究アンケート(C-BARQ) を用いて相違点を検証し、以下に示す結果を発表した。

◆FEMA認定SAR dogの特徴◆
・③よりも①の方が、活動性およびtrainabilityが有意に高い
・③よりも①の方が、ヒト・犬に対する恐怖感と攻撃性が有意に少ない
・②よりも①の方が、恐怖感、ヒトと離れた時の問題行動が有意に少ない

上記を基に更なる研究が進めば、ある母集団、例えば保護犬のシェルターなどから未来のSAR dogとしての大役を担うであろう犬を選出する客観的な評価法が確立されるかも知れない。

万単位で年間に殺処分される犬の中には、きっと、ヒトの命を助ける力を秘めた個体が含まれていると信じております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29922685


コメントする