動物病院は、受付、診察、会計、在庫管理、清掃など、実に幅広く多岐に渡る業務を抱えて獣医療を提供している場所であり、獣医師、VT(動物看護師、獣医療技士)の連携によって成り立っている。しかし、筆者は、前述の事項を含めて院内の全ての業務は、獣医師のみで完結できると考えている。つまり、VTに出来る仕事のうち、獣医師が出来ないものは存在しないということで、「動物病院の運営」という観点に立っても、やはり必要不可欠な人物は獣医師(有資格者)のみであると言え、現に、この体制で動いている医院もある。
故に、獣医師(特に新人獣医師)は、日々の業務を「VTのする仕事」と「獣医師のする仕事」に線引きせず、VTに依存することなく、受付から会計に至る一連の流れを一人で遂行できるように、業務全般を把握し、習得することが望ましい。
ここまでを獣医師へのメッセージとし、以下からは、VTの皆様と獣医師の両者に読んで頂きたい。
前述のような獣医師のみの動物病院には限界がある。
獣医師が居れば一定以上の診療レベルを保ち獣医療を提供できる反面、絶対的に足りない要素を補えず、ペットオーナーの気持ちを充分に満たすことが不可能となるからだ。
ここで、どうしても力(ちから)を借りたい人物が居る。
『VT(動物看護師、獣医療技士』
獣医師は、獣医学の知識を得ることで、「オーナー目線」を忘れてしまうことがあり、それをオーナーに代わって教えてくれるのがVTであり、獣医師に言えない悩みや不安をオーナーが訴える相手もVTなのだ。要するに、一定の診療レベルを超えて、「質の高い」獣医療を実現しているのは、紛れもなく、VTであるということになる。
この非常に大切なポイントに関して、獣医師は、感謝の意を表明するべきではないだろうか。
そして、
今が正に、絶好の機会である。
『National Veterinay Technician Week』
アメリカの獣医看護師全国協会(National Association of Veterinary Technicians in America、NAVTA)が、1993年より10月第3週に、VTのために設けた特別な1週間で、VTに感謝を述べる期間とされている。今年は、10月14日~20日が、これにあたる。
よって、本稿の一部として、筆者からVTの皆様へ向けた感謝状を添付する。
もしも、本稿を読んでいる獣医師の傍に、VTの方々が寄り添っているのならば、
是非、普段は口にしない感謝の気持ちを言葉や文字にして伝えて欲しい。
最後に、その謝意を聴いて、「仕事を続けていこう」と、一人でも多くのVTが思い、感じる1週間が過ぎていくことを願うとともに、実際に、行動に移して頂いた獣医師の先生方へ御礼を申し上げる。
参考ページ:
https://www.navta.net/page/nat_vet_tech