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動物看護師(VT)の存在を改めて評価する活動はこれから

投稿者:武井 昭紘

動物看護師(VT)は、動物病院の顔であり、ペットおよび飼い主さんへのファーストコンタクトをになっている。また、飼い主さんの気持ちを代弁する存在であったり、入院患者の記録を取ったり、外科手術から覚醒した症例が眼にする初めてのヒトであったり、診察が終わったペットの見送りをすることもある。

動物病院にとって、ペットにとって、飼い主さんにとって、VTは重要な存在である。

そして、アメリカのペット産業は、年間62億ドルの経済効果をもたらす大きな業界となることが予想されており、2010年から2020年までにVTの需要は52%増加するとも言われている。

しかし、VTを志願するヒトの数が足りていないのが現状である。

米国 獣医看護師全国協会(National Association of Veterinary Technicians in America、NAVTA)は、2つの原因を提唱している。

一つ目は、賃金の問題である。アメリカの動物看護師の給与は、時給15~20ドル、年収で30000~40000ドル(税込)である。アメリカにおける低所得(貧困)のラインは、24300ドルであり、動物看護師の給与は充分であるとは言えない。

二つ目は、仕事への満足度が低下することである。動物病院の業務は多岐に渡るが、動物看護師のできることに制限があることが要因(離職に繋がる)となっている。

そこで、ミネソタ州のリッジ・ウォータカレッジでは、未来の動物看護師となるかも知れない高校生を増やすために、高校へと出向き、ペット業界への理解を深める活動をしている。また、動物看護師となったヒトには、血液検査、X線検査などの必要性を独自に判断できる権限を与えて仕事をしてもらう体制を整えている。つまり、獣医師は結果を見て、診断して治療方法を考えるだけとなる。

さらに、NAVTAは、動物看護師となったヒトを対象として、卒後教育やスキル向上を目的としたセミナーを開催している。

賃金に関しては、2008年のアメリカ獣医師会の調査で解決の道が開けるかも知れないデータがある。動物病院がVTを雇うことで、総収益が161493ドル以上増えるというものである。動物病院の総収益が増加することは、動物看護師の賃金についての問題を解決するキッカケになることを示唆している。

日本においても、NAVTAのような組織が動物看護師を教育・育成して、リッジ・ウォータカレッジのような「検査にかんする権限を与える」ことで、動物病院の収益は今よりも増加するのかも知れない。そうすれば、日本のペット業界も大きく成長することができると思われる。

収益の増加を考えるのであれば、看護師の権限を大きくすることが良いかも知れない。

収益の増加を考えるのであれば、看護師の権限を大きくすることが良いかも知れない。

 

参考ページ:

http://www.veterinarypracticenews.com/why-vet-techs-are-the-veterinary-professions-backbone/


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