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名古屋港水族館 アオウミガメに発信機 太平洋横断調査

投稿者:AsaT

日本の海岸でふ化した絶滅危惧種のアカウミガメは太平洋を横断して北米西海岸まで回遊するとされるが、詳しい経路やメカニズムは分かっておらず、名古屋港水族館が調査を始めた。

記事によると、名古屋港水族館(名古屋市港区)は米国などの研究機関と協力し、位置情報の分かる発信機を付けた子ガメ計100匹を4年に分けて放流する追跡調査を始めたという。

ハワイ北方の北太平洋中部に浮かぶ自動車運搬船で7月、1回目の放流が行われた。甲羅にアンテナを立てた2歳ほどのアカウミガメ25匹は、次々とかごに入れて海に降ろされると、大海原で元気に泳ぎ始めた。

同水族館がアカウミガメの生態を明らかにするための回遊経路調査に参加するのは今回が2回目。前回は米国の研究者らが1997~2013年に行った調査に03年から加わり、発信機を付けた子ガメ約230匹を日本沿岸などから放流した。

大半は黒潮に乗って北太平洋中部まで移動したが、1年ほどだった発信機の電池寿命もあり、北米西海岸への到達を確認できたのはわずか6匹。産卵地が確認されていない西海岸一帯にどうして多くのカメが生息するのかは解明できなかった。

その後の研究で、太平洋の赤道付近などで海水温が高くなる「エルニーニョ現象」が発生した年に、西海岸へ一斉に到達した可能性が浮上。6匹の到達時期を改めて確認したところ、いずれもエルニーニョが起きた年だったようだ。

「海水温の上昇で西海岸への『回廊』が開くのでは」。研究チームは仮説を検証するため、今年7月から新たな追跡調査を始めた。前回調査で多くがとどまった北太平洋中部の東端から、子ガメ25匹ずつを4年かけて放流し、海水温との関係を確かめる計画。

特設サイト「アカウミガメSTRETCH」では、全てのカメの位置を地図上でリアルタイムで追跡できる。気象庁によると、今年はエルニーニョ現象が春から続いており、仮説が正しければ、7月に放した25匹は来年1月ごろ北米西海岸に到達する見込み。

同水族館の栗田正徳館長(58)は「気候変動が生き物にどういう影響があるか分からない。アカウミガメの生態を明らかにすることが今後の保全につながる」と期待を寄せている。


https://www.jiji.com/jc/article?k=2023081900069&g=soc

<2023/08/19 JIJI.COM>

名古屋港水族館 アオウミガメに発信機 太平洋横断調査(写真と記事は関係ありません)

 


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