犬のカリシウイルスやインフルエンザウイルスのように、以前は病原性が無い、または、病原性が知られていなかった感染症が、近年になって続々と報告されており、これらの事象は、既存の疫学が輸送技術の向上、ウイルスの進化、ヒトの居住地域の拡大状況にマッチしていないことを示唆しているとも思える程である。
前述の背景の中、先月、アルゼンチンで初めて、犬から「あるウイルス」が検出された(以下に詳細を記す)。
◆アルゼンチン北部サンタフェで発見されたウイルス感染症◆
①斃死した犬からSuid herpesvirus type1(SuHV-1)が単離される。
②罹患犬の神経組織からヘルペスウイルスのDNAが検出される。
③②のDNA配列はSuHV-1のものと一致している。
このことより、SuHV-1は犬に感染して、致死性神経疾患を起こすと言えるのではないだろうか。また、日本国内で数年ごとに発生しているブタのオーエスキー病がSuHV-1によるものであると考えると、原因不明の神経症状を呈する犬の中には、SuHV-1に感染した個体が含まれている可能性(1980年代に関東圏で犬の感染例がある)を否定できないため、本国での疫学的調査を早急に検討する必要があるのかも知れない。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29721443