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2021年6月、改正動物愛護管理法の適用進む <コラム>

投稿者:AsaT

動物愛護管理法は2000年に施行された法律で、2020年までに3回の内容の見直しが行われています。

2005年の法改正では、「基本指針や動物愛護管理推進計画の策定」「動物取扱業の適正化」「個体識別措置および特定動物の飼養など規制の全国一律化」「動物を科学上で利用する場合の配慮」などが盛り込まれました。

2回目の改正は2012年に行われ、「動物取扱業者の適正化」が実施されました。
また「多頭飼育の適正化」「犬および猫の引き取り」「災害対応」なども加えられました。

3回目となる改正は2019年に行われ、大きく追加・変更がありました。動物取扱業者だけでなく、動物の所有者などすべての人が遵守する責務の明確化が行われました。2020年6月からは獣医師の通報義務化を含めた登録拒否要件の追加、犬・猫の繁殖制限を義務化されました。

2021年6月からは8週齢規制、数値規制が始まります。8週齢規制は生後56日(8週)齢未満の犬猫の販売を禁止とします。また、虐待の罰則強化は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金となります。数値規制は飼育スペース、従業員一人当たりの飼育数、繁殖の回数と飼育や管理に関する具体的な数値を規定することで違反基準を明確にし、悪徳業者の取り締まりを強化することが目的です。

そのほかにも、2022年6月からは、悪徳ブリーダーの撲滅や飼育放棄を防止するため、マイクロチップ装着の義務化が開始されます。法令を厳しくする理由として、日本のペットの飼育環境や動物愛護への考え方が、欧米に比べて低いことがあげられます。

欧米にはペットショップはなく、ペットは愛護団体や登録されたブリーダーから迎え入れるのが一般的です。日本ではペットを迎える家庭が増えましたが、悪徳ブリーダーによる動物虐待や、安易な飼育放棄が問題となっており、動物愛護や飼育理念を欧米に近づけるために動物愛護管理法が施工されたのです。

当初は「動物取扱業者の適正化」が主でしたが、動物に関わるすべての人が遵守する責務を課されるようになりました。動物の命を守る獣医師の存在・役割も、このような中で重要視されるようになりました。

動物愛護管理法は、すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、人間と動物が共に生きる社会を目指し、動物の習性を知ったうえで適正に取り扱うように定めたものです。ペットと人が長く幸せに暮らすために、動物愛護管理法についてあらためて考えていきたいですね。


2021年6月、改正動物愛護管理法の適用進む <コラム>(PhotoAC)


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