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犬の変性性関節症を高い確率で改善させる細胞学的治療法に関する研究

投稿者:武井 昭紘

変性性関節症(osteoarthritis、OA)は、X線検査に異常所見が認められる程に関節組織の変性が進み、関節を構成する軟骨が消失していく疾患で、その罹患犬は痛みを訴えることもあるため、①鎮痛剤(NSAIDなど)や②軟骨成分の補充による治療が適応される。しかし、全ての症例が既存のプロトコールに反応しないことを前提にすると、異なるアプローチからの新しい治療法の考案が重要であると言える。

そこで、ヨーロッパの大学および動物病院は、犬のOAに対する自己由来脂肪組織(autologous and micro‐fragmented adipose tissue、MFAT)の関節内注射の有用性を検証した。なお、同検証では、加療から1カ月で88%、6カ月で92%の犬に改善が認められるとのことである。

上記のことから、MFATは、OAに伴う痛みを緩和する効果を有するものと考えられる。よって、今後、MFATの採取方法や改善しなかった個体(8%)が示唆している課題点について、更なる研究が進み、一般の動物病院で行われている①②に並ぶ治療法として、MFAT関節内注射法が確立されることを願っている。

既存の治療法でコントロールできない関節のトラブルを解消できる方法が数多く考案されていくことを期待しております。

 

参考ページ:

https://stemcellsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/sctm.18-0020


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