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心肺蘇生により自己心拍が再開する可能性について解析した研究

投稿者:武井 昭紘

人医療における蘇生処置の救命率は、1分ごとに10%程度低下すると言われ、救急車が到着するまでの時間(8.5分)も含めて、迅速な対応を行うことが重要となっている。しかし、小動物臨床では、全国区の動物用救急車の導入はされておらず、原則、ペットの急変に気が付いてから動物病院を訪れるまでの時間がオーナー(もしくは発見者)に依存しており、救命率に関わるリスクファクターを客観化・数値化することが非常に難しいという現状がある。

そこで、ペンシルバニア大学らは、心肺蘇生(CPR)後の自己心拍再開(return of spontaneous circulation、ROSC)を左右する因子の候補として、終末呼気二酸化炭素分圧(PetCO2)に着目して、犬猫の救急症例を解析した。すると、①ROSCを達成できる個体は、②心拍が再開しない個体に比べて、CPR実施中のPetCO2が有意に高値を示し、そのカットオフ値は18mmHg(最短でCPR開始3分後に判定できる)であることが明らかとなったとのことである。

上記のことから、PetCO2は、心肺蘇生を要する犬の予後を判定できる因子であると考えられる。また、今後、①におけるROSC後の死亡率とPetCO2の関連や②に該当する症例のPetCO2を18mmHg以上に上昇させるとROSCを達成できるのかについても、検証が進んでいくことに期待したい。

(画像はイメージです)
心肺蘇生の処置の前に、「助かる可能性」を知りたいと考えているオーナーさんには、PetCO2の数値が分かりやすい指標となるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30117723


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