ヒトの①「てんかん」は、物忘れなどの認知機能障害を伴う場合があるため、②認知症と誤って診断することのないように、脳波検査や認知機能テストを組み合わせた総合的な精査が望ましいとされている。一方で、犬の「てんかん」では認知機能障害の有無は明らかになっておらず、①②を鑑別する判定基準の設定に必要な研究データが乏しいという現状がある。
そこで、イギリスの王立獣医科大学は、①を罹患した犬における認知機能障害に関して、Canine Cognitive Dysfunction Rating(CCDR、犬の②を診断するための指標)による評価を行った。すると、臨床上健康な個体に比較して、①の犬は、空間の短期記憶(spatial working memory task、視空間性ワーキングメモリ)が難しくなっているとのことである。
よって、今後、認知機能障害の症状の一つである「空間の短期記憶ができない」動物が、日常生活で困る具体的な事例を詳細に分析して、臨床現場へ応用することが叶えば、②だと思われていた犬の一部に、①に対する内科治療を行えるようになるのではないかと考えられる。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29700175