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犬とヒトの比較病態学~IBDに罹患した犬におけるアミノ酸解析~

投稿者:武井 昭紘

以前の記事の通り、犬には、原因が特定されていない炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease、IBD)が起きることがある。また、このIBDは、ヒトも罹患することが知られており、体内のアミノ酸の減少を伴う病態に陥るとも言われている。つまり、小動物臨床におけるIBDとアミノ酸の関連を解析することは、獣医療および人医療、双方を発展させる可能性を秘めていると考えられる。

そこで、イギリスのブリストル大学とアメリカの大学(アイオワ、カリフォルニア)は、IBDに分類されるタンパク漏出性腸症に陥った犬(protein-losing enteropathy、PLE群)を対象として、30種のアミノ酸の血清中濃度を測定した。すると、臨床上健康な犬と比較して、PLE群では、トリプトファンが有意に減少している(健康な犬の約3分の1)ことが明らかとなった。

上記のことから、PLEにおける血液中トリプトファン濃度の低下のメカニズムを研究することは、IBDの原因解明、概念の見直し、新たな治療法の開発などへと繋がるキッカケとなるかも知れない。

血清中トリプトファン濃度の低下が、食餌性または代謝性だとしたら、IBD治療用の療法食が開発できるかも知れません。

血清中トリプトファン濃度の低下が、食餌性または代謝性だとしたら、IBD治療用の療法食が開発できるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29604114


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