以前、本サイトの記事で紹介した通り、ゴールデン・レトリーバーの筋ジストロフィー(golden retriever muscular dystrophy、GRMD)は、ヒトのデュシェンヌ型筋ジストロフィーに相当する犬の疾患として注目されている。しかし、GRMDに対する治療法は、いまだ確立されておらず、多角的なアプローチから病態を解明することが、獣医療のみならず人医療の発展に重要であると考えられる。
そこで、ブラジルの大学(サンパウロ、グアルーリョス)は、GRMDにおける代謝経路に焦点を当てて、研究を行なった。同研究では、①臨床上健康な犬、②GRMDキャリア群、③GRMD群の3つのグループに区分しており、各群の糖代謝(インシュリン、グルコース)についての相違点が分析されている。
以下は、結果である。
◆3群の糖代謝の比較◆
・①よりも②③では血糖値が高い
・①よりも③ではインシュリンの分泌が少ない
・③は①②と異なり食後のインシュリンおよびグルコースの変動が乏しい
上記のことから、糖代謝異常が、GRMDの発症要因の一つとなっている可能性があるのかも知れない。今後、研究が進み、代謝経路のコントロールが、当該疾患の「治療法となり得る」または「進行を抑える」と立証されることに期待したい。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29209496/?i=7&from=dog