以前、循環器を例に記事をアップしたことがある通り、犬猫の過体重または肥満は、様々な疾患を引き起こす要因となり得るため、「治療するべき病気」と捉える概念が広まりつつある。このような視点に立つと、適性体重に導く治療法を開発して、明文化ないしは規格化することも重要であると思われる。
そこで、フランスのロイヤルカナン社およびイギリスのリバプール大学は、犬における成功率の高いダイエットプログラムを確立するための研究を行った。同研究では、27か国、340件の動物病院を通して、BCS7~9(9段階評価の中で過体重・肥満に相当する個体)に該当する犬926例が参加しており、目標体重から算出したカロリーに基づいて、ドッグフードが与えられている。なお、カロリー計算、給餌方法などの詳細は、文献をご参照頂きたい。そして、3つのチェックポイント(活動性、研究中のQOL、食べ物を探す行動)によって、プログラムの効果判定が実施された。
すると、97%の症例、896匹が、平均11%の体重減少を達成することが明らかとなり、①雌(雄と比較して)、②未避妊・未去勢の犬で、有意に体重が減りやすいことも判明している。加えて、北米や南米にいる犬よりも、③ヨーロッパで生活する犬の方が痩せやすい「傾向」があることも判明している。
上記のことから、本プログラムは、犬の体重管理に有用であると考えられる。また、地域(アメリカ大陸、ヨーロッパ大陸)によって、体重減少の幅に差異が出ていることに着目すると、文化的背景や経済学的要因の有無について、更なる検証を進めることが望ましいかも知れない。
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