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新しいインフルエンザウイルスが中国の猫から検出される

投稿者:武井 昭紘

インフルエンザウイルス感染症は、ヒトが発症すると死亡する場合もあるため、ヒトへ当該ウイルスを伝播させる動物の予防医療学的管理(防疫)が非常に重要となる疾患である。また、インフルエンザウイルスは、8分節のRNAを遺伝子としていることから進化のスピードが速く、今まで感染しないとされていた動物への感染力を獲得する恐れが常に付き纏う病原体であると考えられている。そのため、インフルエンザウイルスが感染する動物種の正確な把握は、世界共通の課題と言える。

このような状況の中で、先月、中国の浙江大学および浙江省農業科学院が、ヒトと密接に関係している猫(浙江省内)からインフルエンザウイルスが検出されたとして発表を行った。さらに、確認されたウイルスは、3つのインフルエンザウイルス(H5N6、H9N2、H7N9)の遺伝子の組み換えによって誕生したH5N6型であると同定されており、マウスの体内でもウイルスを複製できることが確認されている(ヒトへの感染も懸念される事象である)。

中国は隣国であるため、日本の動物病院においても、既存の疾患のいずれにも分類できない猫の症例に遭遇した際には、猫のインフルエンザウイルス感染症を検討する必要に迫られるかも知れない。

猫のインフルエンザウイルス感染症が中国で拡大する可能性を考慮して、日本での防疫対策を早急に講じる

猫のインフルエンザウイルス感染症が中国で拡大する可能性を考慮して、日本での防疫対策を早急に講じることが望ましいと思います。

 

参考ページ:

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00705-017-3490-2


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