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ウサギの膿瘍を治癒させる可能性を高める補助療法を開発する研究

投稿者:武井 昭紘

ウサギの膿瘍は体表全域に発生する可能性があり、犬猫のものと比べると、治療に苦慮する場合がある。その原因としては、ウサギに使用する抗生剤は慎重に検討する必要があること、外科手術で切除が困難な部位(顔面など)に発症すること、膿瘍の性質状の理由(液状ではなくクリーム状)などで、完全な排膿や膿瘍の摘出が難しいことなどが挙げられる。そのため、当該疾患を治癒へと導く補助療法の開発は、治療成績の向上に重要であると考えられる。

そこで、北京にある獣医学の研究所は、ウサギの膿瘍に対する光線療法(人医療における創傷治療の一つ)の有効性を検証する研究が行われた。同研究には、8匹の日本白色種が参加しており、各個体の傷を3ヶ所(総計24ヶ所)ずつ選別して、①赤色光(630nm)をあてる、②青色光(460nm)をあてる、③光を当てないという3つの異なる条件下に置いて経過が観察されている。すると、③では8例中1例のみが良好な経過を辿ったことに比較して、②では2例、①では4例の膿瘍が治癒することが明らかとなった。さらに、①では組織再生因子(EGF、FGF、CD31、Ki-67)が強く発現しており、炎症を起こす因子(CD68)が減少していることも確認されている。

上記のことから、現行の治療への反応が乏しいウサギ膿瘍に対して「光を使った補助療法」が適応できるように、更なる研究が進められていくことに期待したい。

投薬や外科手術に伴うウサギの負荷(ストレス)が軽減できる様々な補助療法が開発されていくことを願っております。

投薬や外科手術に伴うウサギの負荷(ストレス)が軽減できる様々な補助療法が開発されていくことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28695797

http://www.actacams.com/Jwk_yxkxy/fileup/PDF/2017-3-301.pdf(中国語で記載された文献)


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