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犬の前立腺疾患の早期発見を実現する「予防的」超音波検査法

投稿者:武井 昭紘

犬の前立腺疾患は、中年齢以降において発症リスクが高くなるとされており、排尿・排便のトラブルに伴うQOLの悪化(ペットオーナーによる管理が困難になることも含む)を起こすため、早期発見や去勢手術による予防的措置が重要である。しかし、前立腺疾患を罹患するタイミングを「個体別に」推測することは困難であり、初診(病気の発見)時に、病状が進行していることは珍しくない。

そこで、イタリアのミラノ大学は、前立腺疾患の早期発見を可能とする「予防的超音波検査法」の確立を試みた。今回の研究には、64品種1003匹の未去勢オスが参加しており、年齢は1~18歳齢まで、体重は2~55kgまでと多様な分布であった。そして、超音波検査にて、各供試犬の前立腺の形態学的異常(大きさおよび嚢胞など)の有無が観察された。

研究の結果、前立腺疾患の早期発見を目的とした予防的超音波検査を実施する最も適した開始年齢は、各品種の寿命の40%にあたる時期であることが判明した。つまり、想定されている寿命が15年の犬種では、6歳から前立腺の定期健診(超音波検査)をスタートすることが理想的ということになる。このことから、ペットオーナーから愛犬(オス犬)の健康診断について相談された場合には、品種と年齢に応じて、「最適時期から始める予防的超音波検査法」を提案することが望ましいかも知れない。

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今回紹介した研究をキッカケとして、多くの疾患で、予防的超音波検査法のガイドラインが設定されることを願っております。

 

 

参考ページ:

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0093691X17302856


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