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小動物臨床に腹腔鏡手術を普及させるための専用トレーニングプログラム

投稿者:武井 昭紘

腹腔鏡手術は、外科手術よりも傷口が小さいため、ヒトおよび動物への負担が大幅に軽減されるメリットがある術式である(一部の人医療で起きている過誤の解決は課題点である)。しかし、欧米・日本において、一般的な獣医療と言えるほどに、腹腔鏡手術が普及している訳ではない。

そこで、ワシントン州立大学が中心となって、北米(アメリカ、カナダ)およびヨーロッパ諸国を対象として、獣医師が腹腔鏡手術を習得するための専用プログラムの提供が行われている。同プログラムは、Veterinary Assessment Laparoscopic Skills(VALS)と呼ばれており、以下に示す3段階の過程を経て、5年間有効な認定証を獲得できるシステムとなっている。

<VALSの3ステップ>
1.リモートトレーニング設備の用意
各獣医師が所属する動物病院に低コストの設備投資(VALSのホームページ上で紹介)を行って、トレーニング環境を整備する。

2.ビデオセッション(縫合技術の強化)
特に腹腔鏡下での縫合技術の強化を目的としたセッションの閲覧をする(45分間/回で全10回、1日2セッション以下のペースで週1回以上の閲覧が条件)。

3.VALSテスト
試験官の指示に従う実地テスト(約30分間)により、施術時間およびエラーを計測して、合格者に認定証を授与。

今後、日本においても、VALSをモデルにした認定医制度(または、それに準ずるシステム)が導入されて、「技術が伴った治療法」として、腹腔鏡手術が一次診療に拡大していくことに期待したい。

所属している動物病院で習得できることとは異なる分野を専用プログラムでトレーニングすることで、自己のレベルアップとともに、動物病院の診療技術の向上に貢献できるのではないかと思います。

所属している動物病院で習得できることとは異なる分野を専用プログラムでトレーニングすることで、自己のレベルアップとともに、動物病院の診療技術の向上に貢献できるのではないかと思います。

 

参考ページ:

https://valsprogram.org/

 


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