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動物病院の中で犬猫の感染症を診断できるPCRキット

投稿者:武井 昭紘

犬猫の感染症は非常に数が多く、非特異的症状のみでの診断は困難である場がある。また、典型的な症状が認められている症例では、病原体の特定に近づけるとは思うが、確定診断をするためには、血清学的または遺伝子学的検査などが必要になる。これらの検査は、院内(動物病院の中)で実施できるものは限られており、外部機関にサンプルを送付することが一般的で、時間を要することが現状である。

しかし、この現状を打破しようとする企業がいる。

それは、イスラエルにあるBiogal社で、犬猫の感染症を診断できるPCRキット(PCRun™ Molecular Detection Kit)を製品化している。PCRに要する時間は最大75分で、感染症を疑う犬猫の診察や処置を行っている間で、検査結果が出る程に迅速である。そして、検出できる病原体の種類は以下に挙げるものであり、一次診療でも遭遇する可能性のある感染症が含まれている。

◆Biogal社のPCRキットで検出できる病原体◆

・レプトスピラ(犬)
・エールリヒア(犬)
・リーシュマニア(犬)
・バベシア(B. Canis、B. Gibsoni)
・アナプラズマ(犬)
・パルボウイルス(犬猫)
・マイコプラズマ(猫)

 

上記のPCRキットが、日本の獣医療で利用されている外部検査機関(アイデックス・ラボラトリーズ社、モノリス社、ケーナインラボ社など)の検査精度に近い結果が得られるものであれば、感染症の迅速診断を「院内で」実現することが可能となる。今後、PCRun™ Molecular Detection Kitに関する大規模臨床やケースリポートが報告されることに期待したい。

多くの感染症を迅速診断できるようになれば、早期治療で救える命が増えるかも知れません。

多くの感染症を迅速診断できるようになれば、早期治療で救える命が増えるかも知れません。

 

参考ページ:

http://www.biogal.co.il/products/pcrun


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