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ヒトの小児脳神経外科医が開発した犬の「てんかん」の術式

投稿者:武井 昭紘

以前に作成した記事の通り、犬の「てんかん」は薬物療法でコントロールすることが主体となっているが、病状を安定させることが困難な症例が存在することが現状である。そのため、犬の「てんかん」において、薬物以外の治療法の確立は重要なことであると考えられており、今回は、ヒトの小児脳神経外科医が開発した犬の「てんかん」を治療する術式について紹介したいと思う。

人医学では、てんかんの治療に迷走神経刺激療法(vagus nerve stimulation、VNS)を適用する場合があり、頸部に電極、前胸部にジェネレーターを設置することで迷走神経を刺激して、神経症状(発作)を制御することが試みられている。そこで、ブリストル大学の獣医師と王立小児病院(Bristol Royal Hospital for Children、BRHC)の脳神経外科医が共同して、ボーダー・コリーの「てんかん」をVNSで治療することにした。当該犬は内科療法に反応が無く、てんかん様発作の頻度が増加して病態が悪化していたが、実施されたVNSが奏功したとのことである。

現在、VNSを犬の「てんかん」に適用するには、高額な医療費がかかる。ブリストル大学とBRHCは、「支払ができる現実的な治療費」でVNSが提供できるように研究を進める予定であるので、今後の進捗状況に注目したいと思う。将来的に、VNSが獣医療で臨床応用できる段階まで進化することができれば、犬の「てんかん」において獣医師が提案できる(ペットオーナーが選択できる)治療法が増えることになる。

人医学の技術を獣医療に応用する場合に、必ずネックになる医療費の問題が早い段階で解消するシステムを構築することも、獣医業界の発展には必要かも知れません。

人医学の技術を獣医療に応用する場合に、必ずネックになる医療費の問題が早い段階で解消するシステムを構築することも、獣医業界の発展には必要かも知れません。

 

参考ページ:

https://www.vettimes.co.uk/news/vns-provides-big-step-in-managing-canine-epilepsy/


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