東京農工大はペットの感染症の全国的な流行状況を把握するため、動物病院で感染症と診断された症例を共有する新システムの運用を始めた。
記事によると、新システム「獣医療ネットワーク」は、東京農工大の水谷哲也教授(ウイルス学)らが今春、国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」の支援で開発。
動物病院の獣医師らが、SFTSやレプトスピラ症のほか、寄生虫トキソプラズマ、新型コロナウイルスなど約20種類の感染症を対象に診断した病名をパソコンで登録し、その情報をシステムに参加する各地の獣医師会の会員らは閲覧できる。こうしたペットの感染症の流行状況を把握する全国的な仕組みはこれまでなかったという。
石川県や福井県などの獣医師会がすでに参加しており、8月上旬までに犬の症例十数件を登録した。診断の参考情報にも使えるため、千葉県獣医師会の村田佳輝副会長は「より正確な診断につながる」と期待する。
ペットの病気が人にも広がり、重症化させる事例は少なくない。特にSFTSは意識障害などの症状が出て、最悪の場合は死に至る。水谷教授は「犬や猫の感染症の把握は人の健康を守るためにも重要。多くの獣医師に参加を呼びかけたい」と話すしている。
マダニを介して発症する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や、ネズミなどが媒介するレプトスピラ症などの感染症は、犬や猫だけでなく人にも広がる。
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230905-OYT1T50112/
<2023/09/05 読売新聞オンライン>