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新しい犬の炎症マーカーの開発~血漿中プレアルブミンの臨床的意義~

投稿者:武井 昭紘

プレアルブミン(Prealbumin、PAB)は肝細胞で合成される血漿タンパク質で、半減期は2日と短いことともに毛細血管を透過する性質から、炎症や栄養失調を抱えるヒトで低下することが知られている。しかし、犬のプレアルブミンに関する研究は乏しく、炎症マーカーとして有用性としては不明な点が多いのが現状である。

 

そこで、韓国の大学および動物病院らは、①臨床上健康な犬と②何らかの病気を持つ犬を対象にして、血漿中PAB濃度を測定する研究を行った。なお、同研究では、血漿中PAB濃度とともに診療記録(血漿中CRP濃度を含む)が解析されており、②は更に③CRPが1mg/dL未満と④1mg/dL以上という視点からもグループ分けされている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆血漿中RP濃度の臨床的意義◆
・①②③よりも④のPAB濃度が有意に低かった
・①と③では有意差が認められなかった
・PAB濃度が6.3mg/dL未満の場合、④に属する可能性が高まった(感度89.5%、特異度86.5%)
・PAB濃度はCRP濃度と負の相関関係にあった

 

上記のことから、PAB濃度は炎症を抱える犬の特定に役立つことが窺える。よって、今後、PAB濃度とCRP濃度を組み合わせた炎症の評価と、治療反応性、治療効果、予後、生存率(死亡率)との関連性を明らかにする研究が進み、今以上に犬の病状を詳細に把握できるようになることを期待している。

①は33匹、②は61匹、③は24匹、④は37匹の犬で構成されていたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1142535/full


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