ペットの高齢化が進む現代において、彼らが悪性腫瘍を発症するリスクに晒されていることは宿命と言えるかも知れない。そして、その結果として、彼らの宿命に対応するように動物医療を発展させることが獣医学の大きな課題となっているのである。つまり、悪性腫瘍の早期発見・早期治療を実現することが急務なのだ。では如何にして、「早期」を現実のものとするのか。それが問題である。
冒頭のような背景の中、カリフォルニアに拠点を置いて犬の癌検査キットをリリースしているPetDx社は、悪性腫瘍と診断された犬3400匹以上のデータを解析し、彼らが初めて癌検診を受ける最も適した時期を割り出す研究を行った。すると、母集団において、診断が下った年齢は中央値で8.8歳で、メスに比べてオスは若くして診断され、不妊・去勢手術を受けていない個体に比べて受けた個体の診断は1歳以上遅れ、体重は診断が下る年齢と負の相関をしていること(体重が重いほど若くして診断される)が判明するとともに、品種によって診断される年齢の中央値が異なることが分かったとのことである。
本研究の結果および過去に報告された同様の研究を考慮して、同社は結論を述べる。
『品種や体重別の診断年齢(中央値)の2年前から毎年癌検診を受けることが望ましい』と。
具体的には、母集団の診断年齢8.8歳(約9歳)を例すると、最初の癌検診の最適な時期は7歳になると訴える。今、皆様の愛犬は何歳であろうか。7歳を過ぎているだろうか。もしそうであるならば、1年に1回は癌検診を受けることをお薦めする。
参考ページ:
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0280795