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猫の特発性膀胱炎と細菌性膀胱炎を鑑別するバイオマーカーの開発に関する研究

投稿者:武井 昭紘

①特発性膀胱炎は猫に見られる一般的な泌尿器疾患で、細菌感染を伴わないことが通例となっている。一方、猫の②細菌性膀胱炎は比較的稀な疾患だと言われているのだ。つまり、猫の膀胱炎を治療するにあたって①と②は明確にするべきであって、それに基づいて耐性菌の出現が問題となっている抗生剤の必要性を検討しなければならないと言えるのである。では実際のところ、①と②をどうのように鑑別するのか。これが獣医学の課題となっているのだ。

 

冒頭のような背景の中、トルコの獣医科大学らは、両者を診断する上で有用なバイオマーカーを開発する研究を行った。なお、同研究では、臨床上健康な猫、①および②の猫、計36匹を対象にして、血清中または尿中のグリコサミノグリカン(GAG)、メタロプロテイナーゼ(TIMP-2)、サイトカイン(IL-12)、神経成長因子(NGF)の濃度を測定している。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫の①と②を鑑別するバイオマーカー◆
・①のグループで血清中GAG、TIMP-2、IL-2、NGF濃度が最も高かった
・健康な猫よりも①および②のグループで尿中GAG、TIMP-2、IL-2、NGF濃度が高かった
・①のグループで血中NGF濃度は最も高かった

 

上記のことから、列挙したバイオマーカーを利用すると、膀胱炎ではない健康な猫、①、②を区別できることが窺える。よって、今後、これらを用いた膀胱炎パネル検査が開発され、①と②を発症した猫それぞれに適切な医療が提供される未来が訪れることに期待している。

これらのバイオマーカーで腫瘍性疾患も鑑別できるようになると、利便性が更に上がると思います。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36345051/


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