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イソフルランの最小肺胞濃度を減少させる抗てんかん薬の猫に対する効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

アメリカの大学の研究によると、てんかん発作を制御するために使われるGABA誘導体ガバペンチンを、イソフルランを用いた吸入麻酔の2時間前に犬に投与すると、20%前後の割合で最小肺胞内濃度(minimum alveolar concentration、MAC)が減少するという。そこで、疑問が浮かぶ。このガバペンチンの効果は、猫でも同様に発揮されるのだろうか。

冒頭のような背景の中、中国の南京農業大学および動物病院らは、臨床上健康猫6匹を対象にして、ガバペンチンのMAC減少効果を検証する研究を行った。なお、同研究では、麻酔薬としてイソフルランが採用されている。そして、①ガバペンチン投与群と②コントロール群の2つに猫を分け(7日の間隔を空けてクロスオーバーしている)、①に100mg/headのガバペンチンが麻酔処置の2時間前に投与されており、尾を刺激した時に反応しない時のMACが比較されている。すると、①のMACは1.02±0.11%、②は1.49±0.12%となり、ガバペンチンの投与によってMACが31.58±6.94%減少することが判明したという(統計学的に有意)。一方で、①と②の麻酔モニタリング項目に大きな変化は認められなかったとのことだ。

上記のことから、ガバペンチンには猫にイソフルランで麻酔をかけた際のMACを減少させる効果があると考えられる。よって、今後、ガバペンチンをプロトコルに組み込むための研究が進み、ガイドラインが作成され、より安全な猫の麻酔を実現することを期待している。

本研究に参加した猫の年齢は18ヶ月~42ヶ月齢、体重は3.31±0.26 kg、雄雌の比は1:1だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36865443/


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