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ガバペンチン~イソフルランの最小肺胞濃度を減少させることができる抗てんかん薬~

投稿者:武井 昭紘

最小肺胞内濃度(minimum alveolar concentration、MAC)とは、母集団の動物の半数が体動を起こさなくなる吸入麻酔薬の濃度のことで、MACが低い麻酔薬ほど、効率の良い、または、安全な麻酔管理を実現しやすくなると考えられている。そのため、ある大学(オハイオ州立大学、OSU)では、広く一般の動物病院で使用されるイソフルランのMACを減少させるための麻酔プロトコールに関する研究が行われているという現状もあるのだ。

そのような背景の中、2019年11月、OSUは、以前の研究対象となったトラゾドンとは異なる薬剤によるMAC削減効果について検証を実施した。なお、同大学によると、ヒトおよび犬の「てんかん」を制御するために使われるGABA誘導体ガバペンチンを、イソフルランを用いた吸入麻酔の2時間前に供試犬に投与したところ、対照群に比較して、上額の頬粘膜への電気刺激に反応しないために必要なMACが、20%前後の割合で減少したことを確認したとのことである。

上記のことから、トラゾドンに次いで、ガバペンチンも「MAC削減効果」を有しているものと思われる。よって、今後、両薬剤を組み込んだ麻酔プロトコール案が作成され、他大学または世界各地の動物病院にて、その有用性が議論されていくことに期待したい。

今回紹介した研究では、MACが減少したことによって、麻酔中の血行動態が変化した犬がいなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30297130


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