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腹腔内に出血を起こし輸血療法を必要とした猫に適応された異種間輸血

投稿者:武井 昭紘

肝臓疾患(アミロイドーシス)を患った9歳齢、去勢オスの猫の腹腔に出血が発生した。いわゆる血腹症だ。程度は重症。手術に臨むも大量の出血を止めることは出来なかった。輸血療法の必要性が迫ってくる。しかし、小動物臨床の現状は厳しい。どの国にも全国的な血液バンクは存在しない、あるいは、整備が不充分な状態である。猫用の輸血製剤が手に入らない、在庫も無い。だが、犬用はあるようだ。もしも、そういった状況に陥ったら、皆様は決断できるだろうか。異種間輸血を。

冒頭のよう背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、本症例に犬の血小板製剤(凍結乾燥)を投与する試みを行った。なお、今回のケースでは、同種血液の輸血、抗線溶療法、ヒト由来の組み換え型第 VIIa 因子の投与も併用しているという。すると、輸血療法の必要性は軽減され、且つ、一番の壁だと思われる急性の副反応は認められなかったとのことである。

上記のことから、犬の血小板製剤は大量出血によって死に瀕する猫を救う有用なツールだと言える。よって、今後、同製剤を用いた輸血プロトコルが標準化され、異種間輸血という選択肢が世界的に普及することを期待している。

血小板製剤の用量は、0.9 × 109個/kgだったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1113846/full


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