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現代の短頭種の犬が奇形の子犬を出産するリスクについて調べた研究

投稿者:武井 昭紘

Extreme conformation。

この言葉には、短頭種に特有な顔貌・外見は極端であるという意味が込められている。そして、その裏には、極端な見た目に伴う様々な病気のリスクに対する危機感も含まれているのだ。しかし、あの特徴的な風貌は世界的に人気で、近親交配も止む無しのブリーディングが行われている。つまり、Extreme conformationはより強力になり、果ては奇形を抱える個体が増えると懸念されているのである。では実際のところ、現時点で彼らの子孫の中で奇形は蔓延しているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ブラジルの大学らは、過去4年間に臨床繁殖科の診療を受けた妊娠中の犬の診療記録を解析して、①短頭種、②短頭種以外の純血種、雑種における奇形仔の発生頻度を算出する研究を行った。すると、160匹以上の母犬、760匹以上の新生仔のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆現代の短頭種の犬が奇形の子犬を出産するリスク◆
・母犬の約73%は①であった
・奇形仔の発生頻度は約6.8%であった(50匹以上の奇形仔が生れた)
・奇形仔を産んだ母犬の約88%が①であった
・最も一般的な奇形は口蓋裂であった(次いで全身が浮腫状態になる奇形)
・約19%の奇形仔は2つ以上の奇形を抱えていた
・7歳以上の母犬が奇形仔を産む可能性が高かった
・②に比べて①が奇形仔を産むリスクは約3倍高かった
・以前と比べて現代の①が奇形仔を産むリスクは約5倍に跳ね上がっていた

 

上記のことから、短頭種は奇形仔を産むリスクが高く、そのリスクは以前よりも格段に上がっていることが窺える。よって、今後、奇形仔の絶対数を減らすブリーディングが考案され、短頭種の福祉が向上し、新生仔の生命が守られ、オーナーの経済的・精神的負担が減っていくことを願っている。

本研究では、約67%が計画的な帝王切開、約20%が正常な分娩、約13%が異常分娩で新生仔を産んだことも分かっております。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.981923/full


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