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抗てんかん薬である臭化カリウムの用量と犬が住んでいる地域との関連を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

臭化カリウムは抗てんかん薬として一般的に使用されてきた薬剤で、半減期が25日以上と非常に長い特徴を有している。また、この半減期は、塩化ナトリウムの摂取や腎機能の影響を受けるとされ、その影響は時に有効血中濃度の維持を困難にすると言われているのだ。つまり、塩化ナトリウムが含まれる海水が近くに居る、いわゆる沿岸部で飼育される犬への同薬剤の投与量は多くなるという仮説が立てられるのである。

そこで、ユトレヒト大学とオランダの動物病院らは、大学が管理をする犬の血清中臭化カリウム濃度のデータ、および、郵便物を用いたアンケートで得られた犬のデータを解析する研究を行った。なお、同研究における①沿岸部とは海岸からの距離が50km未満で、②内陸とは海岸からの距離が50km以上と定義されている。すると、有意差は無いものの、②で飼育される犬よりも①で飼育される犬の投与量が高くなる傾向がみられたという。

上記のことから、仮説は全くの誤りということではないものと思われる。よって、臭化カリウムの投与量に有意差が現れる海岸からの距離が再定義され、更なる研究が進められることに期待している。

犬の血清中臭化カリウム濃度のデータは650件以上集められたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.906288/full


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