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犬猫に起きた消化管穿孔の画像診断の感度・特異度を算出した研究

投稿者:武井 昭紘

消化管が穿孔した犬猫は、腹腔にガスが漏れ出した、いわゆる「気腹」という状態に陥ることが知られている。そのため、消化管穿孔を診断するために、腹部X線検査で気腹の有無をチェックすることが重要とされているのだ。では、この気腹を検出する精度とは一体どれくらいなのだろうか。

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学および動物病院らは、①画像診断専門医、②画像診断科の研修医、③一般開業医、④獣医学部生を対象にして、彼らの診断精度を算出する研究を行った。すると、犬60匹、猫8匹のデータが集積され、そのうち50%に穿孔が認められ、有意差は検出されなかったものの、感度は①で約84%、②で約85%、③で約70%、④で約62%であることが判明したという。また、特異度は③④の約56%、約53%に比較して①②では約91%となり、有意差が確認できたとのことである。

上記のことから、獣医師または学生の臨床経験が精度を左右していることが窺える。よって、今後、この経験の差を埋める画像診断法が考案され、一般の動物病院でも犬猫の消化管穿孔が正確に、且つ、早期に診断できる未来が訪れることに期待している。

①~④の一致性はある程度認められ、中でも③と④の見解は一致しやすいとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36214788/


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