ニュース

てんかん発作の引き金と目されるマイクロRNAをターゲットにした治療薬に関する研究

投稿者:武井 昭紘

犬の「てんかん」には、抗てんかん薬を。これは、従来から行われている、いわば伝統的な治療法だ。しかし、この治療は万全ではない。なぜならば、3分の1の症例は抗てんかん薬に反応しないからだ。そのため、抗てんかん薬に依存しない治療法の確立が常に求められているのである。

 

冒頭のような背景の中、イギリスのグラスゴー大学は、細胞内のタンパク質レベルを調節するマイクロRNA(miRNA)に、加えて、脳内では神経系の発生と機能維持のためにmiRNAが発現していることに着目して、その働きを妨害する薬剤によって犬の「てんかん」を治療する研究をスタートするべく、以下に占める条件を満たす犬を募集している。

◆募集条件◆
・2歳齢以上
・体重5kg以上
・MRIおよび脳脊髄液検査で特発性てんかんと診断されている
・少なくとも2種類の抗てんかん薬を投与されている
・しかしその薬剤が効かず1ヶ月に4回以上の発作を起こす
・「てんかん」以外の異常を認めない
・発作の状況を記録して月に1回情報を共有する
・決められたスケジュールで動物病院を訪れる(治療開始から2日間の入院、15日目、45日目、90日目、180日目)

 

miRNAは、ペットの様々な疾患を診断し、経過を追跡するマーカーとして有用だと考えられている。そして、本研究では治療のターゲットとなっている。おそらく、生体内でのmiRNAの役割を理解し小動物臨床に役立てることは、これからの獣医学の大きな課題となる。果たして、本研究は一定の成果を上げることができるか。今後の動向に注意したい。

なお、同研究では、miRNA-134とよばれるものがターゲットとなっています。

 

参考ページ:

https://vnonline.co.uk/vn/news/22444/Participants-sought-for-canine-epilepsy-study

https://www.gla.ac.uk/schools/bohvm/sah/referralhospital/services/neurology/epilepsyclinicaltrial/


コメントする