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World Kidney Dayに合せて発信された各年齢の猫に薦める健康診断

投稿者:武井 昭紘

国際猫医学会(International Society of Feline Medicine、ISFM)によると、高齢の猫の18~36%が毎年、慢性腎臓病(Chronic kidney disease、CKD)を発症しているという。ご存知の通り、このCKDは、進行性で有効な根治的療法が確立されていない泌尿器疾患である。そして、最終的には、罹患猫の命を奪うこともある病気だ。つまり、致死的経過を可能な限り避けて天寿に近いくらいの寿命を彼らに全うさせるべく、当該疾患を早期に診断し、早期に治療することが重要だと考えられるのである。では実際のところ、いつから健康診断を開始することが望ましいのだろうか。また、その健康診断の内容は猫の年齢に応じて変化していくものなのだろうか。

冒頭のような背景の中、ISFMは、去る3月9日に設定されていた腎臓の健康維持および腎臓病に関する情報を啓蒙する記念日World Kidney Dayに合せて、各年齢の猫に薦める健康診断の内容をリスト化し公開した。なお、そのリストによれば、7~10歳齢では年に1回、11歳齢以上では年に1~2回の血液検査(TP、ALB、GLOB、BUN、CRE、ALT、ALP、GLU、Na、K、P、Ca、SDMAを含める)を、および、7~10歳齢では年に1回、11~14歳齢では年に1~2回、15歳齢以上では年2回の尿検査(比重、pH、タンパク質、グルコール、ケトン、ビリルビン、潜血、沈査、UPCを含める)と血圧測定を実施することが理想的とのことだ。加えて、11歳齢以上では年1~2回の甲状腺機能検査を追加することが理想的だという。

7歳齢以上の猫を飼育するオーナー、その猫を診察する獣医師におかれては、現在どれくらいのペースで健康診断を行っているだろうか。もしも、健康診断と縁遠い猫が居る場合は、彼らに長生きをしてもらうべく定期的に「それ」を検討して頂けると幸いである。

本文に記載していない予防歴・病歴の聴取、身体検査、便検査、子猫よび若~中年齢の猫向けの健康診断につきましては、リンク先の文献をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://www.catcare4life.org/app/uploads/2018/03/Recommended-examinations.pdf


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