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超音波検査を用いて健康な小型犬の尿道の厚さを測定した研究

投稿者:武井 昭紘

炎症、感染、腫瘍。何らかの原因によって皮膚や粘膜といった上皮は肥厚する。つまり、それらの厚さを測定し参照値と比較することは、大変に有意義なことなのだ。しかし、そのためには無論、参照値を設定する必要がある。それを如何にして達成するか。これが、医学・獣医学の課題である。

 

冒頭のような背景の中、韓国の大学および動物病院らは、参照値が設定されていない健康な小型犬の尿道の厚さをエコー検査にて測定する研究を行った。なお、同研究では、①尿道の全体的な厚さ(直径と表現した方が分かりやすいかも知れない)は②尿道壁の厚さ(半径と表現した方が分かりやすいかも知れない)の2倍と仮定しており、メス犬では骨盤前口付近、オス犬では前立腺の尾側および骨盤の頭側で厚さが計測されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆健康な小型犬の尿道の厚さ◆
・240匹の尿道の厚さを測った
・①は3.15±0.83mmであった(メスで2.78±0.60mm、オスで3.53±0.86mm)
・②は1.58±0.41mmであった(メスで1.39±0.30mm、オスで1.76±0.43mm)
・メスよりもオスの尿道が有意に太かった(品種別でも同様)
・体重と①には弱い正の相関関係があった
・尿道を測定する人物が変わっても値に差異はなかった

 

上記のことから、小型犬の尿道の厚さは前述した範囲に収まることが窺える。よって、これらを参照値として泌尿器科疾患を抱える小型犬の尿道を測定する研究が進み、新たな診断法やモニタリング方法、予後判定法が確立されていくことに期待している。

尿道の厚さの測定は正中矢状断面で行われたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1051898/full


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