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開いた口が塞がらない生後5ヶ月齢のキャバリアを襲った病気

投稿者:武井 昭紘

口が開いたまま塞がらないキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(5ヶ月齢)がイタリアの北部ミラノとトリノに挟まれたノヴァーラの動物病院を訪れた。身体検査では痛みも認められ、獣医師の助け無しでは口を閉じられないことが確認された。また、神経学的検査では咀嚼筋は両側性に萎縮していること、そして、眼瞼反射および威嚇反射が低下していることが判明したという。しかし、幸いなことに視力に問題は無かったとのことだ。一体、若いキャバリアの身に何が起こったというのだろうか。

CT、MRI、咀嚼筋の病理組織学的検査に抗体検査が実施された。それらの結果から読み取れたことは、2M型の筋線維に対する抗体の存在であった。つまり、本症例は咀嚼筋炎でだったのだ。ステロイドによる治療が開始する。臨床症状は速やかに消失したという。

症例を発表した動物病院およびヨーロッパの大学らは、慢性的な咀嚼筋炎で下顎が垂れ下がった世界初の犬の症例だと述べる。果たして、同様の症例は他にも居るのだろうか。そして、居るとするならば、彼らもステロイドの投与で治癒しているのだろうか。今後、実態が調査され、子犬の咀嚼筋炎に対する診断法・治療法が確立されることに期待している。

2M型の筋線維は咀嚼筋に分布している組織です。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.955758/full


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